第11話
「……こう言う業種で働く俺でも凄いよく分かる例だけど、それは、あまりにしんどいよ。」
困ったようにそう呟く彼に私も苦笑いを溢した。
「だけど4年も経ったら、さすがに育て方はちょっと覚えてくる。
“お前ならもっとできるな“
上司がそう言って、出来る限りいっぱい育てろって言ってくるようになっちゃった。」
私はいつどのトマトを収穫したのか、もうよく今は分からない。
ただひたすらにこなして、捌いて、毎日終電なんて当たり前。そんな時間まで頑張ったって、仕事は終わらない。
明日は何をしよう、それを前日に考えるその時点で、もう仕事が定時では当然終わらないくらいに溜まっていることに気づいて絶望してしまう。
_そこにはもう、やり甲斐を見つける暇なんて無い。
今日は少し、疲れ過ぎていた。
だからふと、電車を降りた時に「なんで働いてるんだっけ?」なんて馬鹿みたいなことを思ってしまって、涙が出ただけだ。
今日は、たまたま、だった。
そう自分に言い聞かせて滲む視界に気がつかないように、少し冷めたハーブティーを飲み干そうとした時。
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