第4話

薄暗いしよく確認できなかったけど、人がいるなら大丈夫そうだ。


店長さんかな?こんな時間まで働いてるのか。

私は人のこと言えないけど身体は大切にした方が良いよ、そんな風に誰に言うでもなくその人影を見つめながら心で問いかけてしまった。


そうして再び、自分のアパートへと進路を戻そうとした時だった。



___カラン、



木目調のドアが開いて、それに設置されているベルが夜道に穏やかに響く。



「……こんばんは。」



突然のことにびっくりして止まってしまった私。


お店から出てきたその人は、ドアに手をかけたまま、窓を覗いていた状態だった私にそう話しかけてきた。


急いで窓から店内をもう一度確認すると、先程の人影はもう無かった。



ふわり、深い夜が連れてくるやけに穏やかな風が私を撫でる。



そのまま扉をそっと閉めて、店先で私と向き合う男の人は一歩近づいてくる。



すらりと高い身長のその人は、シャツに黒のスキニーというシンプルな服装で私を見下ろす。


顔は、マスクをしてるからよく分からないけど、絡ませた視線の先の、その瞳が凄く綺麗だなと思った。




なんて、ちょっと見惚れてしまっていると。




「……不審者?」


と、どこか愉快なテノールが私にそう問いかけてきた。

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