第13話

「それってただのお知らせ?」

俺は床に両手を着いて羽津稀を改めて見た。

「結婚式の招待状」

羽津稀は羽津稀と俺宛ての葉書を顔の前に出してニヤける。

「え、いつ?」

俺は立ち上がって羽津稀に駆け寄った。

「4月1日」

「は?エイプリルフール?」

「出逢った記念日らしいわよ」

「そうなんだ」

俺は羽津稀から俺宛ての葉書を取り上げて内容を読み始める。

『お先に結婚する事にしました。良かったわ、先に結婚出来て。式場の下見だと思っていらっしゃい。部屋代までは取らないから安心してね。花梨ちゃんでした』

その文章に俺は笑っていた。

変わってないんだもん。

4月1日。

俺達は花梨ちゃんの結婚式に参列していた。

花梨ちゃんは俺と羽津稀に2泊3日の用意をしてくれた。

ドレスや式場、結婚式のコースや料理などを見せてくれたんだ。

当日も披露宴が終わってから部屋に戻って花梨ちゃんの旦那さんになった新郎の奈良野友也(ならの・ともや)さんと4人で飲み始めた。

「貴方達と飲み明かせる日が来るなんて夢みたいだわ」

奈良野花梨(ならの・かりん)となった花梨ちゃんが言う。

「ホントだよ」

俺は笑いながら言った。

「あたし、この2人のキューピッドなの」

花梨ちゃんが友也さんに言う。

「そうだね」

友也さんは苦笑した。

「花梨ちゃん、何回も話してるんだね。その話」

俺はツッコむ。

「そうだっけ~」

花梨ちゃんは完全に酔っぱらっていた。

「結婚式を挙げる事になって一番最初にリストにあがったんだ。来てくれて良かった」

友也さんが言う。

俺と羽津稀は何とも言えない笑い方をしてしまった。

「僕は君達が卒業した後に君達の母校に赴任したんだ。花梨とは1年だけ同じ学校に居たわけ。転任が決まって告白したら友達から宜しくって言われてね。我ながら良く結婚に漕ぎ着けたって思うよ」

友也さんが笑いながら馴れ初めを話してくれる。

俺と羽津稀はニヤけながら花梨ちゃんを見たのだが花梨ちゃんは眠っていた。

「花梨ちゃん、酒弱い?」

俺は目をぱちくりさせながら言う。

「実はそうなんだ。だから昨日は飲まないで居たんだよ。すぐに寝ちゃうんだ」

友也さんが教えてくれた。

「さて、寝かせるかな。こうなったら朝まで起きないんだ」

友也さんは申し訳無さそうに俺と羽津稀に言う。

「じゃあ俺達はここで」

俺が席を立つと羽津稀も立ち上がった。

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