第13話
「だからもう良いよ、その話は」
フィーロは頭を抱えてしまう。
「でも聞きたそうだぜ?」
(!)
アクロスの言葉にフィーロはハッとした。
二人の後ろには険しい表情のマリアの姿。
「今の話、どうゆう事?」
マリアの声が震える。
「何でこのタイミングでそこに居るかな」
フィーロは髪をくしゃくしゃにした。
「誤魔化さないで」
マリアは怒る。
「落ち着いて」
アクロスはマリアを宥めようとした。
「フィーロはウイルスが何から出来てるか知ってるの?知ってるならどうして隠すの?ねぇ、ちゃんと話してよ」
マリアは言う。
マリアは動揺を隠せない。
「灯台もと暗しーーなんだよ」
フィーロはスッと立ち上がってマリアの横を通り過ぎて行った。
「逃げる気?」
マリアはフィーロを見る。
いや、睨んだ。
「俺から話すか?」
アクロスがフィーロに問う。
するとフィーロは立ち止まった。
「僕は何度もチャンスを与えた。僕の血を調べろと。そしてようやく調べ始めた。もうすぐわかる。マリアの知識力なら始まりに辿り着く。僕にはここ以外に行く場所は無い。何処に行っても何も変えられない」
フィーロは壁を殴りつける。
「ウイルスに感染しているか以外に何を調べるのよ」
マリアはフィーロの傍に立って聞いた。
「ウイルスと僕の遺伝子の型を調べてごらん。それがヒントだよ」
フィーロは笑顔で言う。
マリアはすぐに研究室に戻って行った。
そしてわかった事。
ウイルスはフィーロの遺伝子と同じ遺伝子で出来ていたと言う事。
それもその筈。
フィーロから採血された血が腐った事で生まれてしまったのがこのウイルスだったのだから。
「このウイルスは僕に感染しても僕の遺伝子と同化して無毒化する。だが僕の血を他の人に輸血してもこのウイルスが無毒化する事は無かった」
フィーロがマリアに事実を話し始める。
「ミシュラムはそのウイルスを何とかくい止める解毒剤を研究してくれた。なのにウイルスを作り出したと誤解されてベルゼブルに軟禁されてしまった。僕はそんなミシュラムすら助け出せないでいる」
フィーロが抱えていた十字架。
「君とアクロスは最初の感染者だ」
フィーロがマリアに話し終えた。
マリアはショックを隠せない。
「どうしてその事実が私の記憶から消されたの?」
マリアはフィーロに聞く。
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