第4話
「血液型位ならもう結果出たかな」
フィーロが言う。
マリアはタブレットを取り出してナナシの採血結果を見始めた。
「あ」
採血結果を見たマリアが止まる。
(?)
ナナシが首を傾げているとフィーロは素早くマリアからタブレットを奪った。
「お、これは良い情報じゃないか」
タブレットを見たフィーロが微笑う。
ナナシの血液型はABO型におさまらないRH-null型だった。
誰にでも輸血が出来るとされる黄金の血と呼ばれる血液である。
「黄金の血を持つ上に蠅の魔力が効かないだなんてなんて素晴らしい」
フィーロは感動した。
「ABO型にも当てはまらないなんてあるのね」
マリアはローストチキンを食べながら言う。
「輸血は誰にでも出来る。でもナナシ君自身の血が足りなくなったら誰もナナシ君を救えない。何故なら救える血液が存在しないわけだから」
フィーロはナナシに顔を近付けて言った。
「水分と栄養と鉄分は毎日採っておかなきゃね」
フィーロはナナシに満面の笑顔を見せる。
ナナシは表情をひきつらせた。
「マリアはナナシ君の血と蠅のウイルスを調合して血清を作り出してみて」
フィーロがマリアに指示を出す。
「既に指示は出しました」
マリアはゆで卵を食べながら答えた。
その時フィーロは食べる事をやめて真顔でジーッとナナシを見ている。
ナナシはフィーロを見て首を傾げた。
「明日は屋敷の中を案内するよ。マリアはどうする~?」
フィーロに笑顔が戻る。
「明日は研究に没頭するわ。それにこれは悪いけどみんなには任せておけない」
マリアは口元を拭いながら言った。
「今から戻るわ。ナナシ君の面倒見てる場合じゃないみたいだから後は宜しくね」
マリアにそう言われたフィーロは「は~い」と笑顔で答えながら彼女に手を振る。
その直後、フィーロは真剣な眼差しでナナシを見つめた。
「何でしょう」
ナナシは恐る恐るフィーロを見る。
「一緒に寝よ」
「はい?」
満面の笑みを浮かべて腕に腕を絡めて来たフィーロにナナシは目が点になった。
「正しくは一緒の部屋で寝よ--だよ」
そう言うとフィーロはナナシから離れる。
「別に一緒に寝ても良いですけど」
ナナシが髪をくしゃくしゃにしながらそう答えるとフィーロは「ホント?」と言って瞳を輝かせながら振り向いた。
その勢いにナナシは驚きながらも「はい」と答える。
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