第11話 村への来訪者 1
―――――――――――――――――――――――NAME:セイル
RACE:
JOB:生産者 Lv.5
SKILL
『農作業Lv.8』『養育Lv.5』『鍛冶Lv.4』『細工Lv.1』『木工Lv.2』『彫刻Lv.1』『描画Lv.1』『裁縫Lv.1』『調合Lv1』『醸造Lv.1』『製品Lv.1』『家事Lv.5』『調教Lv.1』『孵化Lv.1』『武器鍛冶Lv.2』『防具鍛冶Lv.2』『道具鍛冶Lv.3』『剣術Lv.1』『収集Lv.1』『料理人Lv.2』『開墾Lv.2』『伐採Lv.2』『発酵Lv.1』
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土地を貰って一週間が経った。その間、少ないお小遣いを使ってグスタフさんから釘を買い、残っていた木材を使ってコンポスターを制作し、森から採集した落ち葉を使って腐葉土を作ったり、それを蒔いて畑を豊かにしたり、父さんから少しばかり種を貰って畑に蒔いたりと少しずつだが自分なりに発展させていた。
フィルマも、暇な時は遊びに来ては作業を手伝ってくれた。男としては情けないが、フィルマの持つ『身体能力強化』スキルは伐採した木を運ぶ際にとても助かった。
そして、今日は何をしようかと考えながらとスキルのレベル上げとして椅子を作っていると、納屋の外が騒がしい事に気が付いた。
それが気になり、納屋から出ると村の中心にある広場のような所に人が集まっているようで、そちらの方から端の方にあるここまで喧騒が聞こえてきていた。
「何があったんだろうね」
先程までジッと隣で俺の作業を見ていたフィルマが、ひょっこりと俺の後ろから顔を覗かして聞いてくるので、「さあ、分からん」と答える。
「取り敢えず行ってみないと、何も判断がつかないな。……まあ、この感じからして魔物とか盗賊とか、そういったモノの類ではないことは確かだな」
「えっ、そうなの?」
「……悲鳴とか、罵詈雑言とか。そういうのが聞こえてこないだろ」
そう言うと、「あっ、確かに!」と納得したように頷くフィルマに本当に理解したのかと呆れた視線を向けてしまう。が、それに気付いていないのかフィルマは「私達も行ってみようよ!」と言いながら背中を押してくる。
「分かった、分かったから。背中を押すな!」
鍛錬で素の身体能力も鍛えられているフィルマの力は強く、グイグイとその力でめ一杯に押されると痛かった為、慌てて制止する。
「ほら、早く行こうよ!」
「まったくもう……」
痛みを誤魔化そうと思って肩を回しながら、土地の入り口でぴょんぴょんと飛び跳ねるフィルマをジト目で睨むが、フィルマはそれに気付かない為、諦めて今にも駆け出そうとするフィルマの元へと向かう。
「よし、早速行くよセイル!」
「はいはい。って、うおっ!?」
フィルマに手を取られると、勢い良く走り出したフィルマに引き摺られる様に村の広場へと走る事になった。
広場に到着すると、何やら豪奢な装飾が施された馬車と、その周囲に綺羅びやかな鎧姿の男が馬車を囲うように立っていた。
特に豪奢な格好の鎧の男が馬に跨っていて、その前に村長の爺さんが五体投地……いわゆる土下座の格好で平伏していた。
「これ、一体どういう状況?」
理由の分からない光景に思わず呟くと、耳聡く俺の呟きを拾った馬上の男が俺達の方へと視線を向けてきた。と思ったら馬に跨ったまま近付いて来た。ギョッとしながらもフィルマを背後に庇って前に出る。と、
「小僧、貴様はフィルマというものを知っているか?」
「えっ、わ……モゴモゴ」
脊髄反射で返事をしようとしたフィルマの口を咄嗟に押さえて、男を見上げる。
「フィルマを探して何のよう?」
「……先程何か言いかけたそちらの娘は」
「フィルマを探して、何のよう?」
繰り返し聞くと、「う、うむぅ」と唸る。……もしかして悪い人ではないのか?いや、そう判断するのは早計か。
ジッと見つめると、男は困ったように顔を顰める。
「……まあいい。私はログレア王国騎士団所属のテディ=ロシアンと言う」
「俺はセイル。タリア村のセイル……です」
そう名乗る男、テディさん。前世の記憶のせいで名前に少し引っ掛かりを覚えたが、俺も名乗り返す。と、
「そうか、セイル。……ところでそろそろ、そちらの娘子の口を離さないか?」
「いや、コイツ下手に喋らせると失礼なこと言いかねないので」
「いや、そうじゃなくて……。顔が青くなっているぞ」
「えっ?」
そう言われてフィルマの方に視線をやると、顔を青くしながらも無抵抗でされるがままになっていた。
よく見たら、俺の手がフィルマの鼻の穴まで塞いでいたようで、慌てて手を離す。
「わ、悪い!?」
「っぷはぁー!!し、死ぬかと思った……」
ゼー、ハー、と息を荒くして肩を上下させるフィルマを見て、背中を擦る。
「俺が言うのもなんだけど、何で抵抗しなかったんだよ」
「ハァハァ……。えっ?セイルが押さえるってことは、私喋っちゃいけないのかなって思って。だってセイルはいっつも正しいし!」
「ちょっとフィルマ?君従順すぎない?」
純粋な笑顔でハッキリと言うフィルマに少し怖く思いながらもツッコミを入れてしまう。と、
「ふむ。やはりその娘子がフィルマという者だったか」
「……あ」
ついうっかり口走ってしまったが為にフィルマの正体が発覚してしまい、俺は呆然とテディさんを見上げる。その時に見た、テディさんが俺を残念なものをみるような目で見ていたのが、とても印象に残った。
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