第9話 試行錯誤

 父さんから貰った土地を耕していると、何故だか違和感を覚えた。

 言葉にするのも難しいのだが、何か用途を間違えているかのような、そんな違和感。しかし、気にしても無駄かと思い直して耕起を続行していると、何かがカチリと嵌った感覚があった。

 過去に『剣術』スキルが手に入った事を思い出し、ステータスを開くと、


―――――――――――――――――――――――NAME:セイル

RACE:人族ヒューマン Lv.1

JOB:生産者 Lv.5

SKILL

『農作業Lv.8』『養育Lv.5』『鍛冶Lv.4』『細工Lv.1』『木工Lv.1』『彫刻Lv.1』『描画Lv.1』『裁縫Lv.1』『調合Lv1』『醸造Lv.1』『製品Lv.1』『家事Lv.5』『調教Lv.1』『孵化Lv.1』『武器鍛冶Lv.2』『防具鍛冶Lv.2』『道具鍛冶Lv.3』『剣術Lv.1』『収集Lv.1』『料理人Lv.2』『開墾Lv.1』

―――――――――――――――――――――――


 新しいスキルが表示されていた。

 『開墾』スキルの文字を見て、先ほどの違和感に納得がいった。本来は開墾に当てはまる行為を『農作業』スキルに内包されている『農耕』スキルで行っていたから、違和感を覚えたのだ。


 『開墾』スキルを覚えてからの作業はとてもスムーズで、小さい土地だというのもあってか、開墾作業はすぐに終わり、その後、改めて『農耕』スキルで開墾した畑を耕す。


「ふぅー……。さて、本格的に暇になったな」


 鍬を下ろして耕した土地を見ながら息を吐く。耕したは良いものの、よくよく考えれば俺は種も持っていないので畑に植える物が無い。さて、どうしたものかと辺りを見渡すと、鍬と一緒に何となく納屋の外に出した斧が目に入った。


「斧……伐採するか」


 次の作業を思い付き、斧を乗せた荷車を持つと、意気揚々と引き始める。

 俺が貰った土地は村の端も端の方で森が近い。というか隣だ。歩いてすぐに到着する。


「よし、やり方は分からないから、何となく雰囲気でやろう」


 独り言を零しながら担ぎ上げた斧でまあまあの大きさの木に叩きつける。すると、幹の皮に傷が出来る。

 自らの行いに手応えを感じ、更に斧を振るう。と、


「あっ」


 狙いとはズレ、先程つけた傷より2cmほど下に新たな傷がついた。これ、思ったより難しいかもしれない……。





 それからも一心不乱に斧を振るい、何時間も掛けて一本の木を倒す事に何とか成功した。しかし、倒せた木は大きい物では無く、寧ろ小さい部類である為、荷車にそのまま乗せることが出来た。


「……っと、そろそろ日が暮れるし帰るか」


 納屋の隣に何とか木を乗せた荷車を運び終えると、納屋の中に鍬と斧を片付ける。そして、明日からの作業に必要になるであろう道具を色々と考えながら、家へ戻った。






 翌日。家を出る時に鉈を借りてきたので、これを使って昨日倒した木からスキルを使って枝を取り払う。

 全く別物だと俺は思うのだが、何故だか『剣術』スキルが働いてくれたお陰で思っていたよりも早く済んだ。取ってて良かった『剣術』スキル。

 枝を全て取り払うと、今度は樹皮を剥がしていく。今度も『解体』、『剣術』のスキルを活用して綺麗にひん剥くと、今度は納屋の中から斧を持って来る。そして、


「チェストーッ!」


 掛け声と共に斧を勢いよく振り下ろす。皮を剥いだ木に傷が出来る。また、この傷の所に来るよう狙いを付けて斧を振り下ろす。……よし、狙い通り上手くいってる。

 その行為を何度も何度も繰り返していると、遂には何等分かにされた木材が出来上がった。

 自身の仕事に満足感を覚えながら、鉈を返しに一度自宅へ戻った。







鉈を返した後、今度は途中でグスタフさんのところに寄ってノミと槌を借りて来た。そう、今度は『彫刻』に挑戦しようと考えたのだ。

 残念ながら線を引くための墨などを持っていないので、一発彫りとなる。程々に緊張しながら、俺は初めの一振りを入れたのだった。








セイルの現在のステータス

―――――――――――――――――――――――NAME:セイル

RACE:人族ヒューマン Lv.1

JOB:生産者 Lv.5

SKILL

『農作業Lv.8』『養育Lv.5』『鍛冶Lv.4』『細工Lv.1』『木工Lv.1』『彫刻Lv.1』『描画Lv.1』『裁縫Lv.1』『調合Lv1』『醸造Lv.1』『製品Lv.1』『家事Lv.5』『調教Lv.1』『孵化Lv.1』『武器鍛冶Lv.2』『防具鍛冶Lv.2』『道具鍛冶Lv.3』『剣術Lv.1』『収集Lv.1』『料理人Lv.2』『開墾Lv.2』『伐採Lv.1』

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