第3話

真の彼女にものすごく嫉妬している。

こんなことになるなら、思いを告げておけば良かったのかもしれない。

……ああ、でもそんなことをしたら、避けられて学校に行けなくなってたかもしれない。

嫌われるよりは随分マシだったのかもな。

これでよかったんだよ、これで。

仕方ないじゃんな?

……ああ、でもやるせなくてイライラする。

オレは階段を駆け上がって自分の部屋に入った。

ベッドの上に置いてあった携帯をつかみ、電話をする。

何回かのコールの後、電話の相手は出た。

「…あ、隆(たかし)?…うん、オレ。朝早くごめんな?…あのさー、今日起きたら体つらくてさー、熱計ったら38℃もあるんだ…うん、だから今日久しぶりなんだけど…行けねえ、ごめん。うん?ああ、寝てれば治るよ。置き薬もあるし…ああ、じゃあな」

電話を切る。

真と会う気になれないから、今日は仮病を使って休むことにした。他の奴らに会えないことは寂しいけど、真に会いたくない気持ちの方が勝っていた。

そして、オレはまた電話をかけた。

…朝早いけど、出てくれるかな……。久しぶりに電話するからなあ…。

オレの不安を余所に数コールで相手は出た。

「あ、お久しぶりです、店長、はい、将です。…え?いや、出来るわけないじゃないですか、東京といえ、ねぇ。オレまだ学生ですし。ああ、そうそう、今日一晩…眞(しん)とかと会えます? まだ予約は今日入ってない…あはは、こんな朝早く電話してくる奴いないですよね。はい、一晩…もしかしたら延長とか頼むかもなんですけど、おっけーですか? はい、すみません、よろしくお願いします」

今かけたのは、オレが地元にいた頃によく行ってたホストクラブ…?の店の店長だ。

真が好きだと気付いた頃、夜ふらふら歩いていて見つけた店。

ウリセンもやってるらしい、と店に入った時に聞いて驚いた。

まぁ、17だったオレは歳を誤魔化して男を買った。

…うちは金あるしね…真好きだって気付いた時、どうしようもない気持ちだったし。

癒してほしかったんだ、たとえそれが金で買われた時間でも。

真と名前の似ている眞を買って…抱いてもらった。

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