第57話

「とにかく、寒いからこたつに入ろうぜ。寛人、泰良のこともきちんと紹介するよ。話せば面白いヤツだからさ?」

「そ、そうだね」

我に返ったように、寛人が返事をした。

表情もゆっくりといつもの寛人に戻る。

「よし」

オレはみかん袋を持ってこたつに入る。

「よしよし、温まろ~♪」

黙って聞いていた泰良も落ち着いたのを見計らってしゃべる。

ってか、今。泰良の声色が少し…おねえっぽかった。

その声に反応して、寛人が少し笑う。

こたつに入った寛人はみかんを剥きながら泰良に話しかける。

「さっきは失礼しました。前田寛人です。よろしくおねがいします」

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