第30話

「――っ」


目が覚めた。…夢だったのか、アレは。

目を開けたとたん、視界に入ったのは有也のドアップ。

心配そうに覗き込んでいる。

…、苦しいと思ったら何のことはない有也が鼻をつまんでいたのだ。

「く、くるし~んですけど? ゆうやさ~ん?」

心配そうにしておきながら、何で鼻つまむかなあ…。

「あまりに静かに寝てるから心配になっちゃってさ~~」

「わ、わかったから、手ぇ、離せよ!」

平然としゃべりながらまだ鼻をつまんだままだコイツはぁ!

「おまえさあ。ふ――っん」

げ、限界ッ。

もうしゃべれない。

「や、やめてやれよ、有也。直気くん、辛そうだぞ」

有也の後ろから声がする。

…いたんですか、渉っ。

なら、こーゆーことを実行する前に止めてくださいよ!!

「ちぇ、つまらない」

何がつまらないんだ、何が!!

そして手を離してくれる。

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