第31話

「お前さ~、冗談と本気が区別つかないんだから…っ」

ムセながらオレはさっき言おうとした言葉を紡ぐ。

「…やめてくれよ…っ…」

涙目になりながらふと渉を見ると…笑っている。声を殺し て。

思わず思いっきり起き上がる。

――だーっ。

何で笑ってるんだぁっ。

「何がおかしいんですか?」

冷ややかな声で言ってやると渉は笑いを止めた。

「いや。なんか、微笑ましかったから」

ほほえましかったら声を殺して笑うんかい。

「オレと有也のやり取りをみて何処をどうみたら微笑ましくみえるんですか!?――まあ。それは置いといて」

「ふぇ?」

有也がきょとんとする。

「鏡みせてくれません? 渉さん」

「は?」

「あ、やっぱいいです。自分で鏡んとこ行きます」

オレは渉が顔を引きつるのを見て自分で洗面所に行った。

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