第28話

声がする。

女の人の声。

『ナオキのバカ!』

……あ?

何コレ。

『うるせえなあっ!めんどくさいんだよ、そーゆーの!』

オレの声だ。

『そんなことばっかしてると、仕事無くすわよ!

この仕事だってなりたい人なんてたくさんいるのよ!?

その人達に申し訳ないと思わないの!!』

女の人の顔はぼやけている。

なんか可愛い顔してる気はするけど、ぼやけててはっきりしない。

『……思わねえよ。

オレがこの仕事ついたのだって色々とメリットがあるからだ。だから勉強して、受かって』

彼女はオレに向かって指差した。

『だったら! それに見合う仕事しなさいよ!?』

……オレは一体どんな仕事をしてたんだろう。

んで。

なんでケンカごし?

――自分の会話を他人事のように聞いている。

『だって、さ。辛いんだよ、この仕事』

『どこが!?

こんなに楽でメリットになる仕事ないじゃない!』

彼女の口調がきつくなる。

『精神的に辛くないか? この仕事』

オレの声が小さくなる。

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