第8話

安堵する。来る?としか、聞かなかったのに、話を進めてくれるなんて。

有難う、有也。

さてさて、渉の返事は?

「別にかまわないよ」だった。

静かに渉が笑う。

へえ。こういう顔も出来るんだ。

「それに、ここ借りてるの、有也だろ?」

穏やかな、顔。

きっと、満たされてるんだろうな、この生活が。

「――っつーことで」

有也が手を離し、こちらに向き直る。

「狭いけど、宜しくな。あ、渉、自己紹介してよ」

「加藤渉。21歳。趣味は寝ることかなあ。幸せなんだよね、布団に入るのって」

微笑する。

ってか。

意外な趣味ですね?

と、思いつつ、口には出さずに、オレは自分の紹介をする。

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