第6話

音に気づいたはずなのに、顔もあげずに話す。低い、抑揚の無い声。

きっと、いつもこんな感じなんだろう、この人は。

いつも通りの、言葉。ただ、今日はいつも通りじゃないんだなあ、コレが。

「ただいま~」

同居人の態度に気にした風もなく、有也は靴を脱ぎ、部屋に入る。

有也は同居人に近づく。

顔もあげない同居人の顎を持ち、無言で上をむかせ、オレが視界に入るようにする。

「はいはい、注目~」

言い聞かせるように有也が言った。

「……なんだよ、いきなり」

同居人は不機嫌な顔をし、オレを見る。

ひい。怖いんですけど。

けど、同居人も、整った顔してんなあ。有也とは違うけど。

細い、切れ長の目。

綺麗というか、かっこいい部類に入るな、コレは。

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