第4話

公園のベンチで。

腰掛けてしばらく二人とも無言だった。

だってこのガキ。

息を殺して泣いてるんだもんな。

何言ったらいいか分かんねえよ。


……どれくらいたっただろうか。

先に口を開いたのはガキの方だった。


「…っ、ふーっ。でさ、あ、んた名前はっ……」

とぎれとぎれに声を出していう。

オレは素直にこたえた。

「――あ、オレ? 直気」

……としか言いようが無い、そういえば。


前、初めて有也に会った時もこの公園だったよな、とふと気づく。

有也にはこの後も追求されたよな。

けど、このガキは追求する気もないらしい。

また、それだけ聞いて我慢できなかったのか、息を殺して泣き出す。

――っていうか、息を整えようとしてるのかな。

「ええと、で、ガ…じゃなかった君は名前なんていうの?」

この状況に耐え切れず、聞き返す。

「正田友春。年齢は18だよ」

やっと呼吸が整ったらしく、普通にしゃべり始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いつか、また2 @kanra88

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る