何かが始まる前の話
織田紺
第1話
今度、大学の先輩と飲みに行くんすよ。
なんすか。何か話してって言ったのあんたじゃないすか。
とりあえず聞いてくださいよ。先輩の話です。先輩とは言っても留年したから年上なだけで同期なんすけどね。
佐藤さんっていうんですけど、学部もサークルもゼミも全部同じだったんで講義も被るから自然と一緒にいることが多くなって、仲良くなりました。
留年したくせに時々先輩風吹かせるだけで基本的にはいい人ですよ。
卒業後は先輩は全然知らないとこに就職したんであんなに仲良かったのにまったく会わなくなりました。たまにメッセージ送り合うくらいかな。
それが、急に去年の夏だったかな、電話がかかってきたんです。取れなかったんで不在着信残ってたのに気づいて、折り返しました。1コールで先輩出たんすよ。早いなって。用件聞くと、今度飲みに行かないかって誘いでした。
久しぶりだったんで嬉しくて即OKしました。日程調整しようとすると、先輩から日程と場所の指定がありました。それが、今年の〇月〇日なんです。気付きました?今週の土曜なんです。場所はXX駅前の居酒屋。その時は先輩の職場の近くかと思って気にしてなかったんですけど、俺、一回転職して、XX駅って今の会社の最寄なんです。そんな偶然ありますかね。
しかもその電話以来、時々あったメッセージのやり取りもなくなっちゃって。聞きたい事あったのに返信こなくて。
ちょっと気持ち悪くて、土曜日に行くのやめようか考えてます。
何かが始まる前の話 織田紺 @oritakon
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