赤いシクラメン
しおり
第1話
「ゆのおはよ」
「しあーおはよう」
私はしあ。ゆのはずっと一緒にいる友達だ。私はゆのと2人で一緒に居れたらそれでいい。そう思っていた。
「おーいゆのーーー!おら!!」バシャン
さきながゆのに水をかけ、跳ね返り私の頬に少し濡れる。
「きったな笑!臭いし笑ねぇ、しあもそう思わない?!」
「うん、そうだね」
「あっははは笑笑」
「ただいま」ガシャン
「っ、いた、」
「何この点数!!!ふざけてんの?1位じゃなかったら意味ないんだよ!このブス!」
私は何度も何度も殴られ続けた。
チュンチュン
「ん、」いつの間にか朝になっていた。私は床で寝ていることに気がついた。そして体に着いたアザが紫になっている。何時まで殴られたのかわからない。
時刻は7:00。
足が重い。そう思いつつお風呂場へと足を運んだ。
「おはよーしあー」
「うん、おはよ」
「ゆのお前またひじりに色目使ったんだろ」
ひじりはクラスメイトの男子。ゆのばかりに話しかける変なやつ。
「しあが好きって言ってんのにまたそんなことしたの笑??」
「なんだよその目!」バンッ
強く押され、ゆのが机に頭を打つ。私は目線を窓の外へと移した。4月の春、今日も赤いシクラメンが綺麗に咲いている。私はシクラメンの花が好き。
「ねぇ、しあ!もうあいつ殺す笑?」
「え?なんで」
「んー?だってうざいじゃん笑あいつの親ゆのが死んだって知ったらどんな顔するかな笑」
「私家の用事あるから行かない」
「そうなの??じゃあまた明日ね!」
はぁ、ほんとにバカみたい。殺すなんて絶対出来るわけないのに。
「おい死ねよゆの」どこかでそう聞こえた。
「っ、し、あ、」そう聞こえ私の足が勝手に動き始めた。
スッ、グサッ
「う、しあ、お前、!なん、で」
彼女が吐血を吐く
「ほんとに殺そうとするなんてばかだね」
「きっとゆのの1番は私だよ笑」バタン
さきながそういい倒れた。
「はぁ、私と一緒に逃げない?ゆの」
「え、なんで私と、?」
「なんとなく。私も居場所ないし」
「ごめん、やだ」
「え、どうして、なんで?一緒に行くって言ってよねえ」
「だめだよしあ、こんな、こんな残酷なこと、」
「大丈夫だよ見つからなかったらいいだけだし」
「いや、私はいや。だからこんなことやめてお願い」
「ふーん、そんなにさきなのこと好きなんだ。もういいよ。ゆのなんかいらない。昔のゆのはどこにいったの?ゆの、私をみてよ」
私は地面に転がっていた包丁を拾いゆのに突きつける。
「まって、まって、ごめんしあだけをみるから」
「もう遅いよ」グッ、
包丁の先がどんどんお腹に刺さっていく
「う、あ、しあ、しあ」
「あはっ笑、そうだよそうやって私の名前をもっと呼んでればよかったね笑じゃあね、ゆの」グンッ
勢いよく包丁が奥へと入り血が溢れだす。
私の目の先には赤いシクラメンが見えた。
赤いシクラメンの花言葉は『嫉妬』は、そうだ。嫉妬。私はゆのに嫉妬してたんだ、。そう思った瞬間私はすぐにゆのから包丁を抜いた。
でももう遅かった。
ドサッ
桜の花の上にゆのは倒れた。
私の周りは戦場地みたいに血がいっぱいだった。
あぁ、なんてことをしてしまったんだろう。
ゆのを虐めていたさきなは多分私と同じでゆのと仲良くなりたかったんだと思う。ゆのの1番に。私はそのこともすごく嫌だった。もう1つはひじり。急にひじりがゆのと仲良くしだし私と一緒にいる時間が減った。ゆのとひじりは両思いだろう。私はその事が無性にイライラして耐えきれなくなりそうだった。だから私はゆのから離れようとした。けどゆのは私を追いかけた。
ゆのが私を追いかける態度に最近仲良くしていたさきなは腹が立ち、ゆのを虐めた。私も一緒に見ていたからもちろん共犯だ。私を、私だけを見て欲しかった。他の人となんて話さなくてよかったのに。
次はひじりを殺すつもりだ。
暗くなり汚れた手を庭の手洗い場で洗って家に入る。
「ただいま、」
「おせーよ!なんじに帰ってきてんだよ」バチンッ
「はぁっ、」また始まった。
チチチ
「はぁ、」また床で寝ていたみたいだった。
スマホを手に取りLINEをみる。
《しあちゃん!!しあちゃんのクラスメイトどんどん死んでるよ!!!ひじりくんも死んでるらしいし!》
このLINEの相手は隣のクラスの従兄弟。
でも誰がひじりを殺したの?1つの疑問が頭に思い浮ぶ。
《誰がひじりを殺したの?》
私はそう聞こうと思い送信ボタンを押した。
返信はすぐ届き、またLINEを開く。
《あんたの友達のゆのって子だよ!どっかで聞いたんだけど、あんたの事が好きだったのが気に入ら無かったかららしいよ。あんたのことめっちゃ聞き出してきたらしいし、、、》
え?嘘。私はてっきりゆのとひじりは両思いだと思ってた。なんだ、私たちお互い嫉妬してたってこと、、、?
ほんとばかみたい。私は他人を散々ばかみたいって言ってきたけど1番私たちがばかじゃん、笑
全てを終わらすために私はスマホを閉じ家をでる。
私が向かったのは海。私は紫のバーベナとヘメロカリスを持ち海の前に立つ。私はあの理不尽な虐待から逃げれると思うと嬉しさがわいてくる。そしてゆっくりと海に足を運び、腰ぐらいの位置まで水がきた時、私は前に倒れる。2つの花と共に。
赤いシクラメン しおり @mikan612
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