第6話:構成

11)構成


 ここで言う構成とは、起承転結や序破急などといったストーリー構成のことです。ストーリーを構成する場合、前述の起承転結や序破急といったセオリーに従ったほうが容易な場合が多いですが、こと★の獲得を狙うことに特化した場合、起承転結や序破急といったセオリーには素直に従わない方が良いです。


 Web小説を好んで読む読者の方は、主人公が苦しむエピソードを極端に嫌う層がかなりの割合で存在しますし、早急な成功または成長を求める読者の層もかなり多いと思われるからです。


 Web小説で一番人気があるストーリーの種類はサクセスストーリーであり、ついで恋愛とかコメディとか復讐ものが人気です。サクセスストーリーにしても、主人公が一度挫折するような鬱展開は好まれず、鬱展開は避けるべきであるとまで言われています。


 唯一許される鬱展開は、復讐ものや成り上がりものの最序盤だけであり、その展開もできるだけ短く終わらせる必要があります。


 以上を鑑みれば、ストーリー構成は例えば起承承桔といった承の部分を常に上昇させるような変則的なものであったり、起転承桔のような最序盤に転機を配置して、その後は上昇し続けるのみといったものが読者の離脱を抑える良い方法になります。


 ただ、常に成功し続けるサクセスストーリーには飽きが来やすく、また、リアリティの欠如による稚拙さが伴いやすく、それらが要因となって離脱者が増えるといった弊害が生まれやすくなります。


 ではその弊害を防ぐにはどうすれば良いのか? 


 いろいろな回避方法が考えられますが、たとえば主要キャラの魅力や面白い会話劇によって飽きさせないようにするとか、失敗やアクシデントを楽しめるような、あるいは失敗やアクシデントを成功の起爆剤にするようなシナリオを用意すれば良いということになります。


 鬱展開が嫌われる原因は、主要キャラの精神的な落ち込みである場合が多く、失敗しても常に前向きなポジティブ思考の主人公や主要キャラであれば、鬱展開が鬱展開でなくなり、成功の陰に失敗やアクシデントなどの問題を併せ持つリアリティに優れたシナリオにすることができたりします。


 ほかにも読者を飽きさせない構成の組み合わせはあると思われるので、こういったところでオリジナリティを出すのもありですが、あまりに奇をてらった構成にすると、読者を戸惑わせて結局離脱されてしまうといった弊害もあることに注意を払う必要はあります。


 この項目の最後に。

 結にあたるシナリオは冒頭からそれに至るまでの流れに一区切りをつけるべきであるとも言えます。詳しくは後述しますが、小説一冊の文字数が十万文字強であることを考えると、ちょうどその文字数を消化した段階が結にあたるように構成とプロットを考えておくと、★があまり獲得できなかったとき――人気が出なかったとき――に、そこで完結にして次の作品を書きはじめることができます。


 作品としてはたとえ★を沢山獲得するという目的が達成できなかったとしても、その間に掴んだ読者の一部が、次の作品に興味を持ってくれる場合もあるので、完結させた作品が無駄にはなりませんし、小説執筆の技術も得られるわけですから、モチベーションを維持したまま次の作品に取り掛かれば、精神的にも楽になって書き続けることができます。


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