第627話
三人が買い終わるのを待っていようと思ったのに、ズルズルと引き摺られていく。
『……ひなちゃんから、貰ったし』
「ああ、あれ着けた?」
『……これから。』
「じゃあ、それ着てきてね。」
『……。』
これで、俺は待っているだけでいいんだと安心した。
案の定、ひなちゃんのお陰で姫も了承してくれて、今のところ買わなくて良いことになった。
三人も下着を買い終えてお腹が空いてきた頃。
「何処で食べたい?」
「仁、何がいい?」
『……ケーキ。』
「「「女の子……。」」」
何の突っ込みだか分からないが、仁らしいと笑われた。
ケーキセットがある洋食屋さんに決まった。
お店は、丁度お昼頃と言うことで賑わっていたから、15分程待って店内に入った。
「決まった?」
「まだー。」
「仁、サラダも食べるんだよ。」
『……ん。』
兄貴から頼まれている姫は、今日もしっかりと注意をしてくれる。
もう小さな子供じゃないんだから、姫に頼まなくても忘れないのに兄貴も姫たちも未だに世話を焼いてくれる。
オムライスのミニサイズとサラダ、ケーキと飲み物のセットを注文した。
「姫は仁のお母さんみたいね。」
「恭さんが過保護で心配だからですよ。私も習慣でチェックしちゃうんですよね。」
「さすがだね。」
お母さんって、こんなことまで気にするんだ。
心配性の兄貴くらいだと思ってた。
そういえば、亜紀ちゃんも家族の健康のために料理教室に通っていたことがあったな。
「お母さん…か。」
ボソッと呟いたひかの声は、俺にしか聞こえていなかったようだ。
現に、ひなちゃんも姫も笑い合っている。
ひかも笑顔でクスクスと笑っている。
俺の視線に気がついたひかが、にっこりと微笑んだ。
……下手くそ。
嘘つきな笑顔じゃあ、分かってしまう。
俺にも過去があるように、ひかにもひかを苦しめる過去があるんだ。
ひなちゃんが、一瞬だけひかに視線を向けて頭を撫でる。
姫も俺も、聞き出そうとはしなかった。
いつか、ひかから話してくれるような気がしたから。
ご飯が来る頃には、ひかも元に戻っていた。
大満足で食事を終え、次は夏服を見に行く頃になった。
案の定着せ替え人形にされ、バーゲンだったこともあってたくさん買うことになった。
夕方頃、げっそりとした俺と満面の笑みの三人。
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