第4章

第33話





宝物のような休暇の1日を過ごした翌日。

今日は朝から忙しく、隣席の仲川さんとさえ会話をする事もないくらいだった。

といっても、私だけではなく仲川さんも忙しいようでほとんど外に出ていたようだった。




夕方ようやく一息つこうと休憩スペースでコーヒーを飲んでいると、奥沢さんがやってきた。




「お疲れさま」



「お疲れさまです」



「ハァ~、やっと一息つけた〜」



「フフ、私もです」



「でも、藤崎さん疲れが顔に出てなくていいね」



「私、昨日休暇だったんで」



「……あっ、それでか〜」



「はい?何がですか?」



「いや、昨日藤崎さん見かけたから…」



「昨日……!、」




奥沢さんの言いにくそうなその言い回しに、どんな姿を見られたのか想像がついた。




「あれは、あのっ」



「休暇に藤崎さんが誰と会うのか、なんて自由だから大丈夫だよ。別に誰に話したりしないし」



「はい……」



「でも、昨日の彼、どこかで見たことある気がしたなと思って」



「え?お知り合いですか?」

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