第21話

保育園に着くと、らなちゃんが振り返り




「さくらちゃん、ありがとう!!」



「どういたしまして」



「かいしゃ、かえっちゃうんでしょ?」



「うん……」




らなちゃんが少し寂しそうに言ってくれて、私も小さな友達との別れに寂しくなった。




「はい、これ」



「私に!?ありがとうっ!」




らなちゃんは私にも手紙を書いてくれていたようで、ピンクの桜が書いてある封筒を渡してくれた。

封筒を見つめながら感動していると、らなちゃんが耳元で内緒話をするように




「さくらちゃんもすきなひとに、すきっていってね」



「え、あ、うん…いえるかな…」



「きっと、さくらちゃんびじんだからいわれたら、よろこんでくれるとおもうよ。はるとくんもよろこんでくれたよ!」



「ありがとう。喜んでもらって良かったね!」



「また、らなにあいにきてね!」



「うんっ、またね!」




らなちゃんははるとくんと手を繫ぎながら、保育園の門へ入ると、もう一度振り返って笑顔で手を振ってくれた。

その笑顔につられて私も笑顔で手を振り返した。

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