第7話

レモンケーキを食べて、アイスラテを飲み終わった頃にはすっかり外は暗くなっていた。

そろそろ帰ろうと席を立ってレジに向かった。

レジには大輝くんと同じくこのカフェでバイトをしている華耶かやちゃんが待ってくれている。

大輝くんと華耶ちゃんも常連となった私に気さくに声をかけてくれるようになった。




「ありがとうございました!」



「ごちそうさまでした」



「あ、あと咲羅さん、」



「うん?」



「これ、来月の営業予定表です。」



「ありがとう」



「来月はちょっと営業日少なくなるみたいなんですけど、絶対来てくださいねっ」



「うん、もちろん。じゃあ、また」



「咲羅さん、またお待ちしてます」



「……はい」




柾木さんに見送られて店を後にする。

このお店の名前、Un capriccioはイタリア語で"きまぐれ"という意味なのだと柾木さんに以前教えてもらった。文字通りオーナーの気まぐれなのか、営業日が毎月バラバラになっている。

それは平日の3日ほどで、曜日は週によって違い、時間は15時から夜まで。

だから、こうして常連さんに配るためだと思われる営業予定日が書かれた表をもらっている。




帰りの電車に座りながらもらった表を改めて見ていた。

仕事柄、担当の先生の元へ行く事が多く、先生によって居場所もバラバラだ。

都内から1時間で、営業も平日の15時からとなると、お店近くに住む作家先生の所に寄る時以外は柾木さんのお店に行くのが難しい。




「(うーん、先生のところはしばらく行かないからなー、次はいつ行けるかな…)」




次に行くのは少し先になりそうだなと思い、少しガッカリしながらイヤホンをつけて自分の世界へと入った。

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