第6話
いつしか、この柾木さんとの会話も私へのご褒美となっている。
いつも少しだけだけど、言葉を交わせることが私の日々の活力となっている。
なぜなら、私は柾木さんに片思いしているから。
でも、いつも私はこの気持ちがバレないように必死だ。以前、このお店の店員でもある
《「柾木さん目当ての客、増えたよな」》
と言ってるのを聞いてしまった。
初めはこのラテとレモンケーキが好きで通い出したとはいえ、柾木さんを"日々の活力"している私も柾木さん目当てと言えなくはない。
でも、柾木さんにそんな風に思われたくない。
だから、この気持ちは決して気づかれてはいけない。
そう強く心に決めて、私はここへ足を運んでいる。
私の仕事は編集者で、仕事が終わった=本が完成したということなのだ。
このカフェのそばに住んでいる担当の作家がいて、その作家の本がようやく完成したのだ。
今日はその出来上がったばかりの本を作家本人に届けてOKをもらったので、そのご褒美のレモンケーキ。
私が担当しているその作家は、気まぐれな人でこの一冊が完成するまでに、かなり振り回された。
そんな疲弊した心を癒してくれたのが、このラテとレモンケーキそして、柾木さんだ。
このカフェなくして、この本は完成しなかったと言っても過言ではない。
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