第12話

清水との会話の中で無意識に顔を上げると、思っていた以上に両端の二人と距離が近いとこが分かる。



……もしこれが、小崎や清水じゃなくて隣のクラスの美少女とかだったら、と有り得ないことを考える。



どうせ男子高校生の頭の中なんてこんなことばっかなんだよ。






「でもさぁー、歩けないってヤバくない?ねぇ 小崎さん」




無駄に社交的な清水が、小崎にも会話を振った。


つーか本当に、どうしたらこいつと会話が成り立つのか疑問に思うけど。




「え、……ああ、でもそれは大丈夫だと思う。 骨って、ヒビが入っただけでも激痛らしいし」




「ああー。そうかぁ。川辺君よかったねー」




こうして眺めていれば、クラスでからかわれることなんてない、普通の生徒にしか見えない。


普段の怯えるような態度は今の小崎からは全く見られなかった。


……恐るべし、清水。





「……何も良くねぇよ。勝手に悪化させんな」




平常を装って会話を繋げたけど、目敏い清水には俺が動揺したことが伝わったかも知れなかった。

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