第11話

しかもその後、更に最悪なことに、同じクラスの清水に遭遇してしまった。


俺と小崎という組み合わせに驚く清水に、小崎が「ちょっと……そこでぶつかってしまって。」と説明する。



「え!?大丈夫?」



「……うん、わたしは大丈夫なんだけど……」



清水と会話する小崎に、多少の違和感を覚える。敬語じゃない。小崎は俺に対しては敬語のくせに、清水に対しては普通のクラスメイトのように話すのだ。



……なんだよコイツ、普通に会話できんじゃん。


そして、手伝うと言い出した清水に挟まれ、結局俺は級生の女子2人に支えられながら保健室まで連行されることになったのだ。



……おそらくこの光景を友達が見たら、笑うのを通り越して引かれる自信がある。




「川辺君、そんなに痛いの?」




清水は首を傾げて俺の足元に視線を落とす。



……まあ、小崎といるところを見つかったのがこの清水だったのは不幸中の幸いだったかもしれない。




これがほかの女子だったら、明日には変な噂が校内中を巡っていることだろうから。




「いや、そこまで」



「でも歩けないんでしょ?」


「……。」


「骨にヒビとか入ってないといいねー」


「お前、不吉なこというなよ」



コイツは良くも悪くもサバサバしてるというか、自分と他人をキッパリと割りきっている節がある。



だから、「親友」みたいなのはいないけど、おそらくこのクラスで顔が一番広いのは清水だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る