第9話

「……あの、大丈夫ですか?」




ずっと座り込んでいる俺に対して、小崎が少々面倒臭そうに声を掛けてきた。



面倒だと思ってるのがバレバレなんだよ。

取り繕えてると思ってんのかな、コイツ。




いつもとは違う立ち位置に、何だかイライラしてくる。




「……立てない」



「は?」



「右足捻った」





だから困らせてやろうと思った。


別に少し捻っただけだし、ちょっとすれば治るだろうが、コイツにこんなぞんざいに扱われると腹が立つ。





「教室に行って誰か呼んでーー」

「いい」




馬鹿かコイツ。

こんな時間、教室なんて行っても誰も残ってねえよ。




困惑した顔をしている小崎。ここまできたらやけくそだ。もう放っておいてほしい。




「お前ももう帰れよ」






…………そう言ったのに。

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