第8話
「川辺ー!……どうした!?」
大声で怒鳴り散らしていた柴田は、階段の下に座りこむ俺を見たとたん、顔を青くした。
こういうところは、腐っても教師というか。
「具合でも悪いのか?小崎まで!」
一緒にいるのが、普段俺とあまり関わりのない小崎だと気付くと、柴田は驚いた表情になる。
「……。」
「……。」
「川辺?」
何も答えない俺に、柴田は更に心配そうな顔をした。
……そりゃあ、いつもうるさい奴が静かだと変に思うよな。
――――それにしても、最悪。
階段でコケるなんて、小学生じゃあるまいし。
しかもそれを、生徒指導の教師と普段からかってるクラスメイトに見られるって、ホントあり得ない。
俺の面目丸つぶれ。
どうしたってこの状況、格好がつかない。
結局、俺なにも答えない俺に代わって、小崎が階段から落ちた事を説明した。
柴田は心配そうな表情をしていたものの、俺が大丈夫だと頷き続ければ、何か急ぐ事があったのか、速足で立ち去った。
つーか、そんな急ぐ用事があるんなら最初から俺追いかけてきたりするんじゃねーよ。
元はと言えば、体育教師の柴田が全力で俺を追いかけてきたのがいけないのだ。
そして俺は、柴田に捕まらなかったのはいいものの、もう最悪としか言いようがない状況。
落ちた瞬間右足を捻ったせいで、立ち上がることが出来なくなっていた。
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