第14話
私も、なにか買って帰ろうかな。
お祭りの空気に引き込まれるように、そんなことを思い始めた時。
不意に、自分の名前を呼ばれた気がした。
「え……?」
振り向いてみたけれど、こちらを見ている人はいない。
この雑踏の中で、私を呼ぶ人なんている訳がなかった。
気のせいなのだろうと、再度露店の並びに視線を向けた。
次の瞬間。
「ユウッ!!」
今度は、はっきりとその声が耳に届く。
同時に右手を強く引かれた。
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