7月7日、君の想い

第13話

「俺、焼きそば食おうかな」

「えー、お祭りと言ったら私、絶対苺飴。あるかなぁ」


「あるだろ。あったら買ってやろうか」




帰り道、はしゃいでいる声が後ろから聞こえて、自然と頬が緩んだ。



これからお祭りに行くんだろう。



微笑ましい高校生の二人の会話が、後ろから追いかけて来る。



少し通りを歩いてから帰ろう。



なんだかそんな気分になって来て。


行きに足早に通り過ぎた路地に、足を踏み入れた。




やっぱり、綺麗。




今はすっかり陽が落ちて。


お店を照らす明かりと提灯の列が暗闇に浮かぶ。



子供が喜びそうな、ぴかぴか光るおもちゃが並んだ露店。


ソースが焼ける匂いと、ザラメが焦げる綿菓子の甘い匂い。



そんなものが入り混じる独特の空気。


そこに身を委ねるだけで楽しい気分になれてしまう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る