第12話

だから、私は。


この気持ちに区切りをつけるためにも。


自分の気持ちに、正直に向き合うことから始めようと決めたんだ。



マナにちゃんと伝えないと、この気持ちはどこにも進めないと知っていたから。





「マナ。私、今でもヒロトが好きだよ。ずっと言えなくて、本当にごめん」





温かい風が、頬を撫でて。


目の前で、ガーベラの花びらが揺れる。




所詮自己満足に過ぎないのだろうけど。



私はそれだけで、マナに許されたような気がした。





マナ、聞いてくれてありがとう。




いつの間にか夕焼けにそまった街には。


ぽつぽつと小さな明かりが灯っていて。



それらはまるで、夜空から落ちてきた星の欠片のように見えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る