第11話

マナと私の間で、ヒロトの話題はタブーのようになっていて。


あれから、お互いその話に触れることはなかった。




そしていつの間にか。

年を重ね。


それぞれ、全く違う恋をして。


あの出来事は、過去のことになったはずなのに・・・。




私だけ。


ずっと過去に囚われたままだった。




マナと違って、告白する勇気もなくて。


自分の気持ちに正直に向き合うこともできなくて。


ヒロトに対する気持ちを、いつまでも終わらせることができないまま引きずっていた。



新しい恋をしたつもりになっていても。


どこかにずっと、ヒロトに対する気持ちが残ったままだった。



あの時告白していたら、私たちはどうなっていた?


あの時電話していたら、私たちはなにか変わった?




そんなありもしない想いを抱え続けて。


ふと気づくと、いつも彼のことを思い出していた。




あれからずっと、ヒロト以上に好きになれる人に出会えていない。

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