第9話

高校の時、マナと一緒に夏休みの短期のバイトをすることになり、そのバイト先で偶然会ったヒロトは、私が中学時代に好きな人だった。


突然の再会にお互い驚いて。

懐かしさもあって、話が弾んで。


自然とバイトが終わると一緒に帰るようになって。


私の恋心が再燃するのは、早かったと思う。



「いつでもいいから電話して」と、バイトを辞める時にヒロトから電話番号を教えられた時。


もしかして、これからも会えるって期待してもいいんだろうかと、物凄くドキドキした。




だけど、そんな時。


真剣な表情をしたマナに、言われたんだ。



“ヒロト君を、好きになった”―――と。





私は自分の気持ちを言えなかった。




マナとの関係が壊れるのが怖くて、言えなかった。



それまでのことも、マナを裏切っているみたいで、後ろめたくて、なにも言うことができなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る