第8話

今日は、彼女の命日。


マナの好きだったガーベラを、墓石に添える。




あれから3年経って、ようやく泣かずにこの場所に立てるようになった。



今更だけど、どうしても直接マナに話したいことあって、今日は一人でここに来ている。




「マナ、ごめん」




高校時代。


たった一つだけ、彼女についた嘘。



今までずっと、本当のことを言えなかった。




「私、嘘をついていた」




“―――ユウは、ヒロト君のこと、どう思ってる?”



真っ直ぐ見つめてくるマナの瞳を、見返すことが出来なかった。




「あの時、友達としか思ってないって答えたけど」




“―――私は、ヒロト君が、好き”



はっきり告げた彼女の言葉に、頷くのが精一杯だった。




「あれは、本音じゃなかった」



“―――私は、ヒロト君に告白するつもり”



応援する、と言った私に、なぜか悲しそうに笑ったマナ。






「私、ずっとヒロトが好きだった」






風が、優しく髪を揺らした。







マナ。



ごめん。


こんなに遅くなって、本当にごめん。





きっと、マナは。



全て分かっていたんだよね。

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