第2話
琉生side
ウエストは西高を中心に活動するチームだ。そして、そんなチームに憧れる奴等が集まり、どんどんと大きくなっていった。
俺と新は西高に入る前からウエストの存在は知っていた。俺らも憧れていたからだ。
「琉生、ウエストに入らないか?」
新に誘われるまま、俺はウエストのメンバーになった。ずっと新と一緒に空手を習っていた俺らは、喧嘩にも強く、すぐに幹部のお気に入りになった。
「琉生、新、次のウエストは任せる。」
そう言われたのは高校2年になろうとしていた頃だった。俺と新の容姿、カリスマ性、そしてウエストの幹部となれば女達が群がり始めた。
俺も新も女は遊び。本気の恋愛なんてウザったいだけだと思っていた。
俺は親父の会社の後継ぎだ。女に現を抜かして、親父の足を引っ張るような真似はしない。だから女に本気にはなりたくなかった。
「琉生さん、こんにちは。」
「ああ。」
チラリと視線を向ければ、派手な服装、派手なメイクをした女が立っていた。俺の隣に座ると、短いスカートから覗く脚を組んだ。
「琉生さん、私の事を覚えてる?」
「…………。」
「ひどい、この前、一緒に遊んだでしょ?」
甘ったる声で俺に甘える仕草を向ける女をチラリと見た。胸の谷間が俺の目に入ってくる。
「ああ、そうだったな。」
「もう、本当に覚えてる?お詫びに今日も遊んでくれる?」
お詫び?
何のだ?
俺は女から新に視線を向ければ、ニヤニヤと俺を見ている。俺は女に視線を戻した。
「行くか?」
「うん。」
「新、後は頼む。」
「楽しんでこい。」
俺は女と席を立ち、ウエストの溜まり場であるクラブ『ウエスト』を後にした。
女と並んでホテル街を目指した。結局は外に出ても行く場所は決まっている。
「あれ?椎崎鈴音?」
隣を歩いていた女が一人の女に声を掛け、俺の腕に手を絡ませてきた。チラリと視線を向ければ、口角を上げて女を見ていた。
「椎崎鈴音でしょ?今日は男と一緒じゃないんだ。」
「………誰?」
「同じ学校でしょ?酷いな。」
椎崎鈴音と呼ばれた女に視線を向けた。細い身体に大きな瞳が印象的だ。男受けしそうな顔立ちだと分かる。
俺にチラリと視線を向けた彼女の瞳は俺にまったく興味のない瞳だった。彼女の視線を追った女が口を開いた。
「彼、ウエストの幹部の花崎琉生さん。知ってる?」
「知らない。話がないなら行くから。」
「彼、この辺りでは有名なのよ?そんな彼の女なの。羨ましい?」
椎崎鈴音の視線が再び俺に向けられる。その瞳に心が凍っていくのを感じた。彼女は俺に軽蔑の瞳を向けていた。すぐに逸らされた瞳に俺は体が動かなくなっていた。
「お似合いよ。私には関係ないから。」
俺達に背を向けて歩き出そうとした椎崎鈴音に、隣の女はクスクスと笑い始めた。
「椎崎さん、私の男を取らないでよ?」
「取る?意味が………。」
「だって椎崎さんは人の男を取るでしょ?橘くんだっけ?私の親友の男を取ったでしょ?」
「…………彼からは別れたって聞いてた。奪った訳じゃない。」
今度こそ歩き出そうとした椎崎鈴音に、更に口角を上げた隣の女が口を開いた。
「ウエストの幹部の琉生さんは私のモノだから。」
「そう。興味もない。」
初めて女から向けられた軽蔑の瞳―――。
腕に絡まる女がクスクスと笑っている。その顔が俺に吐き気を起こさせていく。
パシッ!
醜く笑う女の手を振り払った。女の視線が俺に向けられる。
「琉生さん?」
「二度と顔を見せるな。」
女を置いて、その場を後にしようとしたが。
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