第2話
「最近、琉生君、遊びに来ないね?たまには、私も一緒に出掛けたい。」
リビングで寛ぐ兄に向かって愚痴を溢す。兄の視線が私に向けられる。
「お兄ちゃん、遊びに行きたい。」
「無理。」
「何だよ、向日葵だけ仲間外れか?」
お父さんの言葉に舌打ちを漏らす兄を追い詰めていく。
「仲間外れなの。最近、全然、遊んでくれない。」
「向日葵も誰かと遊べば良いだろ。」
「誰よ?友達なんていない。お兄ちゃん達しか、遊んでくれる人なんていない。」
兄の視線が突き刺さる。
「作れ。俺達に頼るな。」
「…………。作れないから言ってるの。」
「作る努力ぐらい………。」
「お兄ちゃん達が人気者過ぎて、友達なんて出来ない!寄ってくる女子は皆、お兄ちゃん達目当てなの!」
「…………。」
「そういう子達と友達なれって事?」
兄を睨み付けた。兄の視線が私から逸らされる。
「お兄ちゃんは私が利用されても良いって事?」
「そんな奴等ばっかじゃ………。」
「ばっかだよ。中学の時から言われ続けてれば分かる。目をギラギラにして獲物を狙う目で近付いてくる。」
兄が大きな溜め息を吐いた。
「琉生は女が出来たから一緒に遊べない。」
「女?彼女じゃないんでしょ?」
兄の視線が私に向けられる。私と同じ漆黒の瞳を見つめ返した。
「彼女だ。琉生は本気の女を見つけた。」
「嘘………。だって彼女なんて作らないって。」
「誰がそんな事を言った?俺達にも本気の女が現れれば、彼女ぐらい作る。」
私は唖然と兄を見つめた。
「噂でしょ?」
「いや、本当だ。琉生は本気の女を見つけた。」
「……………。」
「諦めろ。向日葵、お前は琉生にとって妹同然なんだよ。分かってるだろ?」
私の頬を伝う涙が私の脚に落ちていく。
「嘘…………。意地悪してるの?」
震える声がリビングに響いた。
「いや、本当だ。琉生は本気の女を見つけた。」
「…………。」
「だから琉生は来ない。寂しければ、向日葵も友達を作れ。」
友達を作れ?
ずっとずっと3人で過ごしてきたのに………。
「いきなり友達を作れ?ずっと一緒に過ごしてきたでしょ?」
「俺達にも過ごしたい相手はできる。」
兄を睨み付けた。
「私は一緒に過ごしたくないって事?」
「違う。そういう事を言ってるんじゃない。俺達も恋愛ぐらいはするって事だ。」
「琉生は守ってくれるって………。ずっと守ってくれるって。」
お父さんの手が私の頭を優しく撫でた。
「何で私じゃ駄目なの?」
「琉生にとって向日葵は妹であって女じゃない。諦めろ。」
次々と流れる涙が私の脚を濡らしていく。心に大きな穴が空いたように呆然と座っていた。
「どんな女か見せて。」
顔を上げて兄を真っ直ぐに見据えた。
「琉生君の女を見せて。」
「見て、どうする?」
「見たい。琉生君の選んだ女がどんな女か見たいだけ。」
兄の漆黒の瞳が私をじっと見据えている。逸らす事のない視線を兄に向ける。
「新、見せてやれ。それで向日葵が納得するんなら問題ないだろ?」
「………親父。」
「向日葵、見るだけだ。琉生君の女って事を忘れるなよ。」
「分かった。お兄ちゃん、見るだけだから。」
「………分かった。」
兄が大きな溜め息を吐いた。私は頬を伝う涙を拭っていく。
琉生君の本気の女?
どうせ琉生君を誑かしてるに違いない。
「向日葵、行くぞ。溜まり場にいるらしい。」
「分かった。着替えてくる。」
自分の部屋に戻り、部屋着から服を着替えていく。鏡の中の自分を見れば、冷たい瞳をしていた。
私は部屋を後にして兄のバイクで初めてウエストの溜まり場に向かった。
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