自覚

第68話

「わあどうしたのまえほっぴーがこんな可愛いのつけてるなんて珍しい!」



結局あのキーホルダーはスクールバックにつけることにした。

女の子らしい華奢なデザインは、革のスクールバックによく合う。


教室に入った途端、女子力高めのちっちはすぐさまそれに気付いてくれた。



「おっ、うまそうじゃん!」



ちっちにつられてキーホルダーに目をやったホーリー。



「うまそうってあんたマカロンの方しか見てないでしょ。ったく食い意地張ってんだから。で、どうしたの?まえほっぴーがこんな可愛いの自分で買うわけないもんね?」

「うん、お隣さんにいただいた」



ちっちの目が見開かれる。



「お隣さんってあの!?モデルさんの!?なになにあの人まえほっぴーに気あるの!?なんでまえほっぴー枯れてるくせにイケメンばっか寄せ付けるの!?」

「いやそうじゃなくて」

「なんだよトミーのライバルモデルかよ!そりゃいくらトミーでもかなわねぇわ!ケケケケ」

「いやだから違」



斎藤さんの大切な盆栽のお世話を一週間頼まれてそのお礼だ。という説明を、挟む隙もない。




「なになにどうしたの?」


と、いつものようにトミーがやって来た。

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