第67話

「斉藤さん……」

「はい」

「ありがとうございます嬉しいです……!どこにつけようかなあ」

「家の鍵につけたらどうですか。その大きさのキーホルダーつけたらなくさないでしょ」

「いやあのときはなくしたんじゃないです!植木鉢の下に置いてただけです!」



今更あのときの話をほじくり返してくるとは。


斉藤さんは楽しそうに笑っている。




「盆栽の水やりなかなか楽しかったです」

「本当ですか?良かったらいつでも見に来てくださいね、盆栽」

「え、本当に見に来ますよ?」

「ええ。だって前原さんも盆栽の成長に関わった一人ですから」



盆栽の成長に関わった一人、って……そんなたいそうな。

私ただ一週間水やりしてただけだよ。


だけどお世辞でも嬉しい。



「あ、じゃあ私戻ります!ありがとうございました!クッキーも皆喜びます。あ、あとポテチも一袋いただいちゃいました」

「はいはいー、じゃあ今度は二人でポテチ食べながら盆栽鑑賞会でもしましょう」



斉藤さんが手を振る。

私斉藤さんの手振る姿、好きだなあ。


おずおずと、私も手を振り返してみたけど。

やっぱり私は照れくさかった。

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