第69話

「お前は本当このクラスのやつ並みにこのクラスに来るなあ」

「だってまえほっぴーがいるんだもん。あ、どうしたのこれ。綺麗だね」



トミーも昨日まではつけてなかったキーホルダーに気付いた。



「あのねこれね」

「なんでもないのトミー!」

「お隣に住んでる人が」

「それよりD組はもう古典文法の小テストやったらしいね!?」



何故かちっちに説明をことごとく遮られ、トミーもすっかり「やったけど教えない」と、話題を変えてしまった。


ちっちにウインクされた。

ちっちもトミーをキープするつもりだ……なんて悪女。



「あのねトミー!」



別にわざわざ言わなきゃいけないわけではないけど、キープだなんて落ちぶれた女みたいなことをしたくなくて、もう一度話そうとした。ら。



「おーい前原ー!」

今度はクラスメートの、大きな呼び声に遮られた。



「……何」

「お前今日日直だろうが。黒板消せ」



見れば、昨日の六限の授業のまま、消されていない。



「これ昨日のじゃん。昨日の日直か掃除当番の仕事でしょ」

「良いから良いから」

「ったく……」



何が良いから良いからだよ、としぶしぶ黒板消しを手に取って消していく。


昨日の日直誰だ。ホーリーだ。



「こういうのは背の高い男子に任せな!」



と、チビなホーリーがやって来て私の手から黒板消しを奪った。



「いや元々これホーリーの仕事だし私上まで届くしホーリー私より背低いしあと突然無理矢理格好つけなくて良いから」

「すごいねまえほっぴー。何個ツッコミ入れるの」



ちっちとトミーが呆然とした顔でぱらぱらと拍手する。

私も今のは自分でもよく一瞬で全部拾って突っ込めたなと。

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