第49話

「いや私はホーリーより勉強できないだけで、より馬鹿なのはホーリーだから」

「馬鹿な奴はそういうこと言うんだよ。やあい負け犬の遠吠え~」



無言でホーリーの脛に蹴りを入れると顔を歪めてから黙りこんだ。



「仲良いよね、三人とも」

「貴様の目は……、節穴かっ……」



それはそれは素敵な笑顔で羨ましそうに言った富井くんの言葉に、ホーリーは脛をさすりながら睨むような目で言い返した。



「なんで?仲良いよ。ねえ俺も百合ちゃんのことまえほっぴーって呼んで良い?」



そのままの表情で言われた言葉に、私も、おそらくホーリーやちっちも固まった。



「よ、呼びたいの?」

「うん!」



小中高とちっちとホーリーは私のことをまえほっぴーと呼んできたけど、小中高と二人の他に、私のことをまえほっぴーと呼びたいという人はいなかった。



「全然良いけど、良いの?」

「やった!じゃあさ、俺にもなんかあだ名つけてよ、皆と同じ感じでさ」



ちっちと私は、同時にホーリーの方を見た。


というのも、私とちっちのあだ名を考えたのは、両方ホーリーだったから。


ちなみにホーリーと決めたのも、ホーリー自身。



だから無意識のうちにホーリーは、あだ名をつける役目のように思っているのかもしれない。



「任せろ任せろ。富井和樹だからな……富井っつったらあれしかねえよ!」



私とちっちと富井くんの視線は、ホーリーに集まった。

ホーリーは嬉しそうに間をためる。早くしろ。




「トミー!」

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