第41話
うん、そう言ってほしかったんだけど。
言われたら言われたで、恥ずかしすぎてどうすれば良いのか分からなくなる。
「前原さんこんなちゃんとした服も持ってたんですか?」
「私の服貸してあげたんです。今日この子、デートだから」
隣でちっちが答えた。
「デート……?前原さんが……?」
信じられない、と目が言っている。
私だっていまいち信じられないくらいなんだから、斉藤さんは尚更だと思う。
「良い友達がいて良かったですね。デート頑張ってくださいね」
斉藤さんはそう言って玄関に鍵をかけると、私とちっちの横を通り過ぎて行った。
「すごい、モデルさんに会っちゃったー。やっぱ足長いね顔小さいねー」
「可愛いって言われた可愛いって言われた可愛いって言われた……」
「まえほっぴー?」
斉藤さんの「可愛い」が、声のトーンや間合いまできっちり記憶されるレベルで、頭にびしっとこびりついてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます