第4話竜と少女

走って走って、あの優しい竜の元へと向かった。そしてあの竜、ウィンドルはリリーを見ると優しげに目元を下げた。

「静かにね」

そしてそう言われて、リリーは両手で口を押さえる。

『会いたかった!』

小声で言うと、ウィンドルは頷き、自分の頬をリリーの頬に擦り寄せる。

「クルルルル」

と喉を鳴らした。ウィンドルが機嫌が良い時の鳴き声だ。だが、頬を離した時にはなんだか心配そうな表情に変わった。

「リリー、お前熱があるね」

そう言われてやっと自分の体調が悪かったことに気が付いた。

「向こうの世界だと体を休ませることもできないのだろう。ここで少し眠っていくといい。」

「いや、ウィンドルといるんだもん起きていたいよ。」

「私とはまた会える。人間は弱いからね、少しの病気で命を落とす。私はリリーに会えなくなるなんて苦しいんだよ。お願いだ。少しでも眠っておくれ。」

ウィンドルがこうも言うものだから、リリーはちょっと肩を落として、それからウィンドルに抱かれるような形で少し眠ることにした。

「リリー、見回りが来たよ。帰ったあとは、ならべく休むんだよ」

目を擦りながら起き上がると、ウィンドルの首に抱きついて、しばらくそのままいて帰る時、ウィドルに手を振って帰って行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る