第12話

キャロルが「マークや。早くこっちに来ておくれ」と弱った声を振り絞って呼んでも、マークはすぐには行ってあげません。しばらくしてから、やっと重い腰をあげれば良い方です。聞こえないフリをして、結局行かないことが多くなりました。



マークはキャロルの世話もせず、自分の部屋に閉じこもりがちになりました。テレビやDVDを見たり、インターネットゲームで遊んだりすることを優先し始めました。



そんなある日のことです。マークはキャロルから「ずっと寝てるので腰が結構痛くてねえ。腰を揉んでくれないかい」と頼まれました。



マークは「はい、はい。わかったよ。グランマ」とかったるそうにではありますが、珍しくすぐに引き受けました。しかし結局は、やる気があるわけではないので、適当な揉み方をしていました。



そのうちキャロルが「マークや。悪いけどもうちょっと強く揉んでくれないかい?」とお願いしました。すると、マークはややふてくされ気味に「はい、はい」と返事をしました。



しかし、やる気のないマークの揉み方に変化は現れませんでした。キャロルがまた「マークや。もうちょっと......本当にもうちょっとで良いから強く揉んで......」と言ってる途中で、マークは「僕も指が痛いんだよッ!」と声を荒げキャロルの部屋を出て行ってしまいました。



キャロルは慌てて「悪かったよ、マーク。じゃあ、さするだけでもいいからお願いだよ」と言いました。が、キャロルはただでさえ弱っているところに、マークの冷たい態度にショックを受けた為か、大きい声を出せません。キャロルのお願いはマークの耳には届きませんでした。



このようにマークは急激に、あまりにも急激に、キャロルの世話への意欲を失ってしまいました。マークは人々にほめられたくてキャロルの世話をしていたのでしょうか?人々の目がないとキャロルの世話をしないような子だったのでしょうか?



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その後のキャロルは、具合が良い時と悪い時の差が大きくなってきました。

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