2
第9話
マークは以前よりもずっとずっと積極的にキャロルお婆さんの世話をするようになりました。キャロルに呼ばれるとすぐに駆けつけ、すぐにお願いごとを聞いてあげるのです。これまでのように面倒くさがったり、イヤイヤながらという感じではなく、笑顔で明るくキャロルの言うことを聞いてあげるようになりました。
ある日キャロルは、いつものようにマークにお願いをしました。
「マークや。悪いけどオシッコに連れて行っておくれ」
「おー、急いで行かないとね。じゃあ僕の腕につかまって」とマーク。
キャロルはマークに助けてもらいながら起き上がり、そのままマークの腕につかまってトイレまで歩いて行きました。マークはトイレの中に入ると、キャロルを座らせてあげました。
キャロルは「じゃあトイレの外で待ってておくれ。これからはレディだけの時間だからね。ハッハッハッ。終わったら呼ぶね」と言いました。
キャロルは病気で痛がったり、苦しんだりという日々を送りながらも、ユーモラスな一面も持ち合わせていました。
「わかった、グランマ。トイレの外で待ってるね」マークは言われた通りにしました。
そのうち「終わったよ、マーク。来ておくれ」とキャロルに呼ばれて、マークは「わかった。今、行くね」とトイレの中に入って行きました。そしてまたキャロルに手を貸してあげ、部屋まで連れて帰ってあげました。
「ありがとうね、マークや。おまえ無しでは、あたしゃ生きていけないよ」キャロルはマークにお礼を言いました。
キャロルは杖をついて、1人でトイレに行くこともできましたが、マークがいる時には、より早くてより楽なので、マークに手伝ってもらうようにしていました。マークはキャロルをトイレに連れて行ってあげるのを、以前は照れくさいのもあり、ためらっていましたが、あのレストランでの出来事以来、抵抗がなくなってきました。
また、マークはあのレストランでの体験以来、何か頼まれる前に自分からキャロルが喜ぶことをさがしてあげるようにさえなっていました。
例えばお婆さんが家に閉じこもりっ放しになってしまわないよう、よく外に連れて出て、散歩するようになりました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます