第8話
「僕は今までどうして格好が悪いなどと、つまらないことを気にしていたんだろう。キャロルの手を支えながら一緒に歩くのは、少しも恥ずかしいことではない。良いこと、素晴らしいことをしているんだ」
マークは人々の笑顔にそう教えられたのでした。
席についたマークはキャロルとティナに
「みんな、僕とグランマが一緒に歩いているのを見てニコニコししていたよ」
と言いました。ティナは
「マミィにもみんなの笑顔が見えたわ。優しい人達なんでしょうね。マークとグランマが一緒に歩いているのを見守ってくれてたわね」
と嬉しそうに言いました。キャロルも喜んで言いました。
「あたしも嬉しかったよ。マークのような孫がいて、あたしゃ鼻が高いよ」
マークがキャロルを支えながら歩くのを見て、見知らぬ人達が幸せで優しい気持ちになり、そしてその見知らぬ人達のたくさんの優しい笑顔を見て、マーク達3人もまた幸せで嬉しい気持ちになりました。
「グランマ、マミィ、今日は3人でお出かけできて良かったねッ!さあメニューを見て、見てッ!何にするッ?」
元気いっぱいになったマークは、メニューを広げました。
「マークがはしゃいでいると、あたしもまた一段と嬉しいよ」
とキャロル。
「マークもグランマも楽しそうで、本当に良かったわ」
とティナ。3人がその後、どんなに食事を楽しんだかは言うまでもないでしょう。
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マークの、キャロルの世話に対する考え方は、このレストランでの体験をもってガラリと変わることになりました。その後のマークは、自信と責任をもってキャロルの世話をするようになりました。レストランにいた人達のたくさんの優しい微笑みが、マークを変えたのです。マークにとっては、本当にかけがえのない素晴らしい体験となりました。
しかし......しかし大変残念なことに、マークが今日体験した素晴らしい出来事が、ゆくゆくはマークを間違った方向に導くことになってしまいます。
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