第7話
そして次に、その隣に座っていた夫婦らしい優しそうなおじさんとおばさんも、マーク達に気づいて嬉しそうに微笑みました。2人が一緒に歩いているのを見て、おじさんとおばさんまで嬉しい気持ちになったのでしょうか?自然にこぼれた笑顔のようでした。
そしてその隣のお客さんも、またその隣のお客さんも。まるでつぼみが次々と花を咲かせていくかのようにパッ、パッ、パッとレストランに居るお客さん達の笑顔が花ひらいていきました。それはそれは素晴らしく美しい光景でした。マークはただただびっくりしてしまいました。
するとその時、お母さんのティナと年齢が同じ位と思われるウェイトレスがやって来ました。そのウェイトレスもマークとキャロルが一緒にいるのを見て、優しく微笑んで言いました。
「まー、お婆ちゃんのお世話をしてあげて、感心ないい子ね」
そしてそのウェイトレスは3人に向かって改めて
「ようこそ、いらっしゃいませ。3名様ですね。それでは私がテーブルまでゆっくり歩いて案内しますね」
と言いました。ウェイトレスに導かれながら、マークはゆっくりとキャロルを支えて歩いて行きました。
するとマークは再び素晴らしい光景を目にすることになります。マークがキャロルを支えて歩いて行く度に、テーブルの横を通り過ぎていく度に、次々と新しい笑顔に出会っていったのです。
レストランにいるお客さん全員とは言いません。全員とは言いませんが、それはそれはたくさんのお客さん達が、マークとキャロルが歩いているのを見て微笑んでいるのです。まるで申し合わせでもしたかのように、一様に笑顔で迎えてくれたのです。
最初、マークが微笑んでいる人達を見た時は、驚きの方が先で呆気にとられていました。それから次々と微笑む人達を見るにつれて、マークはぎごちないながらも微笑みを返すようになりました。そしてウェイトレスに導かれて空いているテーブルに辿り着く頃には、マークの気持ちはときほぐされ、心からの笑顔を返せるようになっていました。
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