第2話
マークとティナはお医者さんから「お婆さんは病気でもう長くない」と聞いています。マークはまだまだ子供ですが『もう長くない』の意味は十分に理解できています。キャロルも『もう長くない』ことについて薄々感づいているようです。
キャロルはこれまで、足が悪いこともありゆっくりとしか歩けませんでしたが、病気がひどくなってきてからは外出も難しい状態になってしまいました。
ティナは昼間仕事をしていて、帰ってくるのは夕方ですが、仕事が長引くと家に帰るのが夜遅くなることもしばしばでした。マークは、学校が終わって帰宅して、その後ティナが帰ってくるまでの間、キャロルの世話が日課になりました。
クリスマスが近づいてきたある冬のすごく寒い日、マークはキャロルにクリスマスキャンドルを買ってくるようお願いされたのでした。渋々お使いを引き受けたマークですが、家を出た直後あることを閃きました。仕事中のティナに電話して、家に帰る時にキャンドルを買ってきてもらうのです。マークの諦めが悪いことと言ったらありません。
「あッ?!でも、ダメだッ!!」
マークは、ティナが「今日は仕事が終わるのが遅い」と言っていたのを急に思い出しました。
「あ~あ、しょうがないや。チェッ!ま~いっか、グランマの為だ。行ってくるか」
マークはやっとあきらめて、そのまま買い物に出かけることにしました。もうすぐ日が暮れそうな寒い中を、ブツブツ文句を言いながら自転車をこいで近くのスーパーまで行きました。
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ある日キャロルが「マークや。あたしの部屋がすごく散らかっててねぇ。悪いけど、かたづけておくれ」とマークに言いました。
「そんなにたいして散らかってないじゃん。これからお客さんが来る訳でもないし、別に今かたづけなくても......」とマーク。
するとキャロルはやや強い調子で「十分散らかってるじゃないかい。この子はどこ見てそんなこと言ってるんだい?あたしゃキレイな部屋じゃないと気が休まんないんだよ。散らかってると、どうも落ち着かなくてねえ」と言いました。
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