第50話

彼女は言葉を続ける。




「好きって何ですか?



私人を好きになったことがあんまりなくて。



キ、キスだって久貝さんが初めてだし、、」




…え。



え、俺が初めて?



しばらく頭が働かない。



…あ、彼女の質問に答えないと。




「好きっていうのは、愛しいってこと」




俺は彼女に対して常日頃感じていることを言葉にした。



彼女の体を少し離し、その顎をそっと上げて親指で唇を撫でた。



昨日と同じで柔らかい。なんでこんな柔らかいの。



熟れた唇は俺のことをいとも簡単に誘惑してくる。




「俺が初めてって本当?」




さっき聞いたことが信じられなくて、事実だとしたら嬉しすぎて、もう一度尋ねた。



彼女が頷き、俺の手に触られている彼女の顎が小さく動く。



吸い寄せられるように彼女の唇に自分のを重ねた。



唇を離したあと、俺は再び彼女のことを抱き寄せて、はぁーーと大きなため息をつく。




「あんまりがっついてるって思われたくないのに」




そういう、体目的というか、イチャイチャできれば誰でもいいみたいに思われたくないのに、体が動いてしまった。



大事にしたい、ほんとに。



ごめんと独り言のようにつぶやくと、彼女はふるふると小さく首を振ってくれた。

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ファーストタッチ─side 久貝─ @tsukumo_9946

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