第48話

ようやく彼女が出社する日になった。長かった。



会いたすぎて、死ぬかと思った。



いつも通りビルで待っていると、彼女が出てきて、俺にぺこりと頭を下げる。



俺の、恋人。



今道で歩いてる人全員に言いまくりたい。ほんとに。



彼女を助手席に乗せて車を走らせ、マンションの前を2人で並んで歩く。



前一緒に歩いていたときとは俺たちの関係が違うんだってことに気づいて、不意に恋人らしいことをしたくなった。



そっと彼女の手に触れてみると、彼女は一瞬ビクッと肩を震わせたが、手を引っ込めることはなかった。



ゆっくりと指を絡める。




「嫌?」




と俺が聞くと、ぶんぶんと大きく首を横に振る彼女が本当に可愛くて、やっぱり俺の恋人になってくれたんだと実感できた。



寒さなんてこれっぽっちも感じてなかったけど、俺は繋いだ手を自分のコートのポッケに突っ込んでおいた。

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