第46話

このままだと彼女に手を出しかねない俺は、




「今日は帰る」




となんとか声を絞り出した。



ここまでたどり着いたのに、俺のくだらない欲でそれを手放すわけにはいかない。



俺が支度を整え、玄関に行くと彼女はパタパタと走ってきた。



見送りをしようと思っているのか、その手にはコートが握られている。




「寒いから来なくていい」




俺がそう言って彼女のことを見つめた。



ほんとに、信じられない。俺の彼女になってくれたなんて。



今すぐ言いふらしたい。俺の恋人ですって。



俺はもう一度確かめるように彼女のことを抱きすくめて、




「俺の、彼女だ」




とこぼした。



真っ赤な顔になる彼女のことがものすごく愛おしい。



「またね」と告げると彼女は頷いた。




帰り道、俺は自分でもわかるくらい浮かれていたので、できるだけ考えないようにして運転に集中した。

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