第46話
このままだと彼女に手を出しかねない俺は、
「今日は帰る」
となんとか声を絞り出した。
ここまでたどり着いたのに、俺のくだらない欲でそれを手放すわけにはいかない。
俺が支度を整え、玄関に行くと彼女はパタパタと走ってきた。
見送りをしようと思っているのか、その手にはコートが握られている。
「寒いから来なくていい」
俺がそう言って彼女のことを見つめた。
ほんとに、信じられない。俺の彼女になってくれたなんて。
今すぐ言いふらしたい。俺の恋人ですって。
俺はもう一度確かめるように彼女のことを抱きすくめて、
「俺の、彼女だ」
とこぼした。
真っ赤な顔になる彼女のことがものすごく愛おしい。
「またね」と告げると彼女は頷いた。
帰り道、俺は自分でもわかるくらい浮かれていたので、できるだけ考えないようにして運転に集中した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます