第43話

ごちそうになってしまったので、食後は俺が皿洗いをした。




皿洗いを終え振り返ると、彼女は「お皿洗いありがとうございました」と言いながらコーヒーを2人分用意している。




「ん。コーヒー飲むの?」




俺がそう聞くと、彼女はハッとした顔になった。




「あ、もう帰られますよね。すみません。いつもの癖で入れちゃいました。」




飲むに決まっている。もっと一緒にいたいし。




「もう一杯飲みたい」




と言うと、申し訳なさそうにしながらコーヒーを入れてくれた。




ソファーに座って、2人で並んでコーヒーを飲む。




「久貝さんって、寒いの好きですよね?」




いつも俺が寒空の下待っているからか、そう聞かれた。



寒いのなんて、大嫌いだ。



寒い中待ち、彼女が現れると寒さを微塵も感じなくなって、今まで待ってたときの寒さとかどうでもよくなるだけだ。




「嫌いだよ」




横目で見ながらそう言った。



彼女が俺を見て、ふふっと笑う。




「絶対嘘だ」




彼女は目尻を下げて楽しそうに言った。

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